ービジネス書!?ー
丘崎:そういえば、毛利さん、最近ビジネス書にハマッているらしいですね?なんでまた(笑)。
毛利:そうなんですよ。これがまた、けっこう良いんです。今ね、ちょうど読んでいるのがコレ(カバンから出す)なんですが・・・。
丘崎:『なぜトヨタは人を育てるのが上手いのか』。
毛利:トヨタの社長の著書です。
丘崎:へえ〜。面白い。
毛利:ビジネス書って、言ってみれば、考え方の紹介の本なんです。劇団(毛利さんと劇団員・写真左)を運営していく上で、精神面でためになることが結構あるんですよ。それは、目の前のいろんなやらなきゃならないことに追われてつい忘れがちになってしまう、「楽しむ」ということ。
芝居だって元来は、楽しむために苦しんでいたのに、気が付くと楽しめないから苦しむみたいなことになってしまう。
丘崎:・・・確かに〜・・・。
毛利:そういうところから、細かな問題がいろいろ起きたりしていくんですよね。

ーピラミットは奴隷が作ったんじゃないー
丘崎:うんうん。
毛利:劇団だとどうしても、楽しむって言うことは二の次になってしまいますから・・・。
これ、知ってます?ビラミットは実は奴隷が作っていたんじゃなかったんですよ。
丘崎:え、そうなんですか?知らない知らない。
毛利:最近分かってきたことなんですが、ピラミットを作っている人たちはイヤイヤ強制労働させられていた奴隷じゃなくて、待遇もよく、王様の墓を立てる栄誉を感じて作っていたらしいんです。そりゃそうですよね。イヤイヤ作っていたんじゃ、いくら人を沢山使ったって、あそこまで素晴らしいものは作り上げられない。
丘崎:言われて見ればそうですね。作る人間一人一人の意識の違いで全然違う結果になりますよね、きっと。
毛利:芝居も一緒だと思うんです。イヤイヤじゃダメです。やっぱりそれぞれが魅力を感じてやらないと。

ーリトルプリンスー
丘崎:そういう意味では、散々言ってきたことですが、『The Little Prince』は随分と楽しめたんじゃないですか?
毛利:はい。まず、少年社中だと、どうしても、後世に残る作品を作ってやろうという意気込みがプレッシャーになって、行き詰った気持ちになっていってしまう部分もあります。『The Little Prince』は完全にawayですから、まずそこの部分から気が楽ですよね(笑)。
丘崎:びっくりするくらい、ミンナが楽しめた雰囲気が最高の現場でしたね。教会と言う場所が、邪念を抱けない場所と言うこともあるとは思いますけど。
毛利:今回は本当に勉強になりました。ああいう現場を作らないと、良い作品はできないって思いましたよ。『The Little Prince』では、最終的には、役者個々人が自信を持って、誇りを持って、舞台に立っていた。これって、さっきのピラミットの話じゃないけど、ものつくりにおいて、ものすごく大事なことだと思います。
丘崎:そうですね。まあ、初めての読み合わせの時は、コレはどうなるんだろう・・・って、メッチャ不安になっちゃったけど(笑)。
毛利:実は僕もそうです(笑)。
丘崎:毛利さん!!でも、最終的には良い方向に転んで、本当に良い作品になりましたよね。
でも、『The Little Prince』でそれだけの影響を受けたってことは、次回の社中の作品にもかなり繁栄されるんじゃないんですか?

ー自分で一杯一杯ー
毛利:ええ、そう思います。やっぱり、苦行になってしまうのはNGです。余裕って大切だと思います。それを今回、身を持って感じました。余裕を持つことをちゃんとできれば、集団も変わるはずです。
丘崎:ああ・・・、それはワタシにとっても大いなる課題です。余裕を持つ。
毛利:(笑)。次回作は、再演なんで、見えている部分もかなりあります。そこで上手く余裕を持つことができればと。
今回の『The Little Prince』を見ていても、廿浦(写真・左)なんか役者として成長していると言うか、とても良かった。それを見て、もっと役者を、みんなを信頼して良いんじゃないか、信頼して楽しんでいけるんじゃって思いました。
これまでは、あまりに自分で一杯一杯になりすぎていた部分がありまりましたからね。
丘崎:毛利さんが一杯一杯って意外・・・。
でも、本当に今回の『The Little Prince』では楽しませていただきました。
理由のひとつは、毛利さんの受け皿の広さというか、幅の広さってあると思います。
なにをやっても、このヒトは許してくれそうだ、受け入れてくれそうだ、みたいな安心感。
自分の劇団だと、つい、これは嫌わせそうだからやめよう、みたいな気持ちが働いて、そうするとどんどん自由にできなくなって、自分で自分をがんじがらめにしてスゴク苦しくなってしまうことが多いんです。

ーノンポリ!!ー
毛利:それはね、僕がノンポリだからです。ポリシーもってノンポリなんです(笑)。特に外部でやるときにそうであるよう心がけています。劇団だと、もう少し狭くなるとは思いますが。
丘崎:なるほど〜、ノンポリか。そこが秘訣か・・・。
毛利:外部でやると、例えば今回みたいに他ジャンルの人たちとのコラボレーションであったりする時もある。そういうときに、できるだけ自分の幅を広くして、凝り固まったポリシーを持たないようにするんです。何のかんの言って、演出家って、最終的にものすごい権限のあるポジションですから。力を抜いて、誰でも受け入れられるように心がけてます。
丘崎:納得。確かにそういう感じでした。それが伝わってきて、本当にやりやすかった!!
毛利:そもそも僕、我を通した経験がないんですよ。まあ、自分の劇団だと多少我を通している部分もあるとは思いますけどね(笑)。

ー理想は柳ー
丘崎:本当に。柔軟なヒトだなあ、毛利さんって思ってました。
毛利:理想は柳なんです。
丘崎:わあ〜〜〜!!私も一緒です!!(丘崎・写真左)理想は私の場合、竹です。表面の強さじゃなくて、柔らかい強さみたいな。柳や竹のように、強い風が来ても柔らかくしなって倒れない。そういう生き方をしたい!!
毛利:ですね。
丘崎:本当に!

ー土俵際に強いー
毛利:あと生き方と言えば。高校時代にハマッていた漫画が、今の行き方の指針になっているところがあります。
丘崎:何ですか?
毛利:最近映画化されましたが、『逆境ナイン』です。すごく馬鹿な漫画なんですけどね(笑)。とにかく、逆境におちると頑張る!
丘崎:あ、ワタシもそのタイプかも(笑)。
毛利:(笑)。とにかく僕は土俵際に強いんです。でもね、最近困ったことがあって・・・(笑)。まだ土俵際じゃないから大丈夫、っていう甘えが出てくるようになりました。
丘崎:ああ、それはキケンですね(笑)。ギリギリまで自分を追い詰めないとチカラが出てこないんですよね(笑)。テストで言うなら一夜漬け。夏休みの宿題で言うなら9月に入らないとヤラナイというタイプ。ああ、それ自分だ・・・(笑)。
毛利:それですそれです。
丘崎:じゃあ、毛利さん、土俵際広げっぱなしですね。土俵の領土、随時拡張中(笑)。

ーみんなの幸せー
丘崎:柳や竹の話じゃないですけど、タンタン(写真・右)って力抜けてますよね〜。
毛利:ええ。ぼくなんか、この『The Little Prince』始めた頃はまだそんなに面識が無くて、探り探りって感じでした。あんなに繊細でアーティスティックな作品を作るのに、作り終えた作品はポイポイとぞんざいに扱ってしまうような大雑把さに、始めのうちはかなり戸惑いました。
丘崎:ああ、そうですよね(笑)。タンタンは外見的にはまずそう見えないし、作品からも想像は出来ないですよね(笑)。彼女に聞いた所、どうやら、作り終わってしまった作品には急に興味がなくなってしまうらしいんです。作っている最中が全てみたいな。
毛利:いや、でも本当に、タンタンはすごいと思いました。勉強になりましたよ。ああゆうあり方ってすごいと思う。
丘崎:どういうところがですか?
毛利:完全に、完璧に無責任でいられるところがある!(言い切る)
丘崎:ああ〜〜!(納得)。自分に出来ない事に対して無理しないというか、ヒトに投げてしまうのが上手なんですよね。投げられた人、フォローしてる人々にとってはとんでもないかもしれませんが(笑)。結果オーライということで(笑)。私自身は投げベタでしょいこみ体質で、それが良くない方向に出ることも多いので、見習いたいところです。
毛利:ええ。少年社中では、私が主宰で作演を兼ねている形です。ということは、経営者かつアーティストであるという矛盾を抱えなければならないということです。これは相当なストレスです。
丘崎:よくわかります。
毛利:僕だけでなく、裏方の仕事、ハードなスタッフ業と言いますか、それを兼任して役者をやっている人間達にも同様に、重度のストレスを与えてしまった部分がかなりあると思います。そして、結果的にはスタッフ業に専念する事を自分で選択するように追い込んでしまったように思います・・・。
丘崎:そうですか・・・。
毛利:僕は、みんなで幸せになりたい。
丘崎:何だかすごく、決意を感じるコトバですね。作っているミンナでですね。ワタシも本当に、『The Little Prince』(写真右・出演メンバーの一部)では、その良さを肌身で感じる事が出来ました。毛利さんもよく、幸せ幸せ言ってましたし(笑)。
毛利:はい。

ー次回作『光の帝国』−

丘崎:みんなが幸せになってこそできる「良い作品」になりうるのかどうか、期待の次回作について聞いても良いですか?
 三部作の、今回は第二部になるんですよね?『廃墟に眠る少年の夢』のシリーズの第二部。すごく楽しみデス!
 ワタシ、第一部の『LIDDLE』(左・チラシ)大好きでした。なんだか、ただ見ているだけじゃないというか。ディズニーランドなんかのアトラクション体験した感じ。巻き込まれていく感がすごくあるので、アトラクションぽいんですね、きっと。円形劇場の形も生かされていて、今まで見た青山円形劇場の作品の中では、一番しっくり来ました。通路側に座っていたので、駆け抜ける役者達の巻き起こす風も気持ちよかった!!
毛利:円形の演出は大変ですね(笑)。お客様があらゆる角度から見ているので、演出家が動いていろいろなところから見る。
丘崎:想像すると、かなり面白いですね、その演出現場(笑)。超アクティブな演出家(笑)!!
毛利:次回作も再演物なので、勝ちは見えてます。
丘崎:でた!!毛利語録!
毛利:(笑)。「行きて帰る」ということはファンタジーの基本なんです。『ロード・オブ・ザ・リング』しかり。
 「夢の世界」というものは、あくまで「現実の世界」に帰らないと、意味が無いんです。
丘崎:ああ、なるほど、言われて見れば納得。
毛利:同じように、冒険も帰らないと意味が無いんです。
丘崎:冒険といえば、次回作『光の帝国』の情報が社中のHPにありますが、冒険にまつわるショートストーリー仕立ての映像、とても素敵ですね。コレを読んだ皆様にも絶対オススメです。一度見てみてください!!→コチラ
毛利:ふふふ。次もドロドロしてますよ。次回作は、タイムスリップの話です。しかも近親相姦。
丘崎:ええ〜、タイムスリップで近親相姦・・・。す、スゴイなあ。
毛利:主人公が何らかの業を負っているということは、キャラを立てやすいんです(笑)。禁忌を犯す事で特別な存在になり得てしまえるので。
丘崎:ほお〜、なるほど。
 前回公演の第一部が終わった時から既に第二部が楽しみだったんですが、ますます楽しみになりました!
毛利:ハイ、勝ちは見えてます。是非、いらしてください。
丘崎:もちろんです!!今日は、長々とお付き合い頂きまして、本当に有難うございました。
 次回作、頑張ってくださいね!!


   毛利さんの主宰する少年社中のHPコチラ
     『光の帝国』 2006年3月24日(金)〜28日(火) @青山円形劇場



    

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO